<?xml version="1.0" encoding="utf-8" standalone="yes"?>
<rss version="2.0" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom">
  <channel>
    <title>SF on 本の感想とか</title>
    <link>https://piyoyuki.net/tags/sf/</link>
    <description>Recent content in SF on 本の感想とか</description>
    <generator>Hugo</generator>
    <language>ja</language>
    <lastBuildDate>Sun, 26 Oct 2025 00:00:00 +0000</lastBuildDate>
    <atom:link href="https://piyoyuki.net/tags/sf/index.xml" rel="self" type="application/rss+xml" />
    <item>
      <title>息吹</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/ibuki/</link>
      <pubDate>Sun, 26 Oct 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/ibuki/</guid>
      <description>&lt;p&gt;再読。やはり短編として最高傑作だと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;テッド・チャンは現実の物理学の概念を物語に落とし込むのが絶品の作家だと思っている。そして「息吹」はその最たる例。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;現実世界とは異なる、単純化された世界を仮定し、その世界を探求する中で、本質だけを抽出して読者に&amp;quot;理解&amp;quot;させる。&#xA;なるほどSFってこういうもんですかー、とひたすら感心することしかできない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;息吹で言えば「空気の流れそのものが生命」というネタであったり、宇宙はいつか平衡状態に達して終焉を迎えるということだったり。これらはそのまま現実に当てはめられる話なのだけど、単純化された世界での出来事にすることでより理解しやすくなっている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;平衡状態に達するネタも、&amp;ldquo;エントロピー&amp;quot;という物理量は熱力学の概念なので、つい「温度」について考えてしまいがちだが、「気圧」だけで説明していて、これもうまいと思った。気圧のほうがイメージしやすくてわかりやすい。そして「空気の流れ＝生命」ともばっちり関連している。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;最終的に、このままいくと気圧差がなくなって世界が終焉を迎えてしまうことが判明するわけだが、終わりゆく世界で主人公は&amp;quot;それでも記録を残す意味&amp;rdquo;、&amp;ldquo;別の世界の介入の可能性&amp;quot;を見出し、希望を持てる終わり方をする。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;息吹に限らず、テッド・チャン作品の特徴として、客観的にみてわりと悲劇的な内容に対して、その事実を受容しつつ希望を持てる終わり方をする話が多い。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;世界観としてはロジカルでソリッドなのだが、人間の&amp;quot;心&amp;quot;の可能性に対しては肯定的な作家という印象がある。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>2010年代海外SF傑作選</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/2010ssf/</link>
      <pubDate>Wed, 24 Sep 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/2010ssf/</guid>
      <description>&lt;h2 id=&#34;火炎病-ピータートライアス&#34;&gt;火炎病　 ピーター・トライアス&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;無いはずの炎がずっと見えてしまう火炎病。&#xA;兄が火炎病に罹患してしまった主人公は、ARで火炎病の人が見ている世界を再現しようとする。&#xA;意外な展開とはいえ、読後感はわりと普通だった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;乾坤と亜力郝景芳&#34;&gt;乾坤と亜力　郝景芳&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;子供から学ぼうとする高知能AIの話。友情に心温まる。&#xA;エモい系の話ってエモいしか言えねえ&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;内臓感覚ピーターワッツ&#34;&gt;内臓感覚　ピーター・ワッツ&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;Googleのロゴを見ると怒りが抑えられなくなる男の話。&#xA;いつものワッツらしくめちゃくちゃ皮肉が効いている。好き。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;openチャールズユウ&#34;&gt;OPEN　チャールズ・ユウ&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;家に帰ると部屋に&amp;quot;door&amp;quot;が出現している話。SFというよりは幻想小説。&#xA;なんともいえない感傷的な話だった。&#xA;チャールズ・ユウって経歴もケン・リュウに似てるけど作風もちょっと似てるかもしれない。&#xA;どっちも文学寄りの印象。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;-チャイナミエヴィル&#34;&gt;”　”　 チャイナ・ミエヴィル&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;＜無＞を構成要素とする獣、&amp;quot; &amp;ldquo;について論じる異常論文SF。&#xA;哲学チックな屁理屈をこねくり回していて面白い。&#xA;＜無＞、＜虚無＞、＜不在＞、＜虚空＞&amp;hellip;と出てくるが違いがわからなくて笑う。&#xA;なんとなく円城塔に近いものを感じる。&#xA;これが収録された架空生物アンソロジー、めちゃくちゃ面白そう。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;題名のせいでインターネットでの検索は至難である。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;総論&#34;&gt;総論&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;テッド・チャン「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」とケン・リュウ「良い狩りを」は既読なので略。どちらも傑作。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;今回初読の上記作品はたしかに面白かったが、傑作かと言われるとうーん&amp;hellip;？って感じだった。正直ね。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>ゴッド・ガン</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/godgun/</link>
      <pubDate>Tue, 23 Sep 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/godgun/</guid>
      <description>&lt;h2 id=&#34;ゴッドガン&#34;&gt;ゴッド・ガン&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;頭がおかしい科学者が神を殺す話。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;神は光で世界を作ったのだから、光の銃で神を殺すことができるはずというロジックが面白い。&#xA;キリスト教的な世界観を仮定しまくってはいるが。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;神の存在を認めるオチはSFとしては意外で新鮮だった。現代SFは神の不在を証明する話ばかりなので。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;「どこへ行くの？」「神を殺しに」言ってみたいセリフ圧倒的No.1。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;ブレインレース&#34;&gt;ブレイン・レース&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;瀕死になった友人を助けるため、外科手術に長けた謎の異星人を頼る話。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;異星人の趣味が悪過ぎて笑う。まさかブレイン・レース（ド直球）だったとは&amp;hellip;&#xA;かなり不気味でグロい。救いようのないオチもよかった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;人間が宇宙人にメチャクチャに改造されてしまう系の話だと、奥浩哉の「いぬやしき」が思い浮かぶ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;宇宙人とは関わらないようにしようと思った。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;邪悪の種子&#34;&gt;邪悪の種子&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;頭おかしい外科医が、地球にやってきた不死身の宇宙人を解剖しようと執着しまくる話。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;登場人物、スケール共にぶっとんでてこれが一番面白かった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;社会の価値観が解剖を許してくれないから自分を冷凍睡眠して未来の価値観で解剖しようって思考回路、イカれ過ぎている。不死の仕組みを解明しないと気が済まない好奇心というかもはや狂気。こういうの大好き。オチも秀逸。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;まとめ&#34;&gt;まとめ&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;バリントン・J・ベイリー、やたらイカれた登場人物が出てくるし、シニカルなユーモアがあってかなり好きな作家かもしれない。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>接続された女</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/thegirlwhowaspluggedin/</link>
      <pubDate>Tue, 23 Sep 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/thegirlwhowaspluggedin/</guid>
      <description>&lt;p&gt;in 『愛はさだめ、さだめは死』。&#xA;ジェイムズ・ティプトリー・Jrを読むのは初めて。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;広告が厳しく制限された社会。&#xA;自殺未遂した醜い女P・バーグが、巨大企業に拾われて美少女の義体「デルフィ」をリモート操作させられる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;目的は世界に配信される彼女にさりげなく商品を身につけさせるステルスマーケティング。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;だが、デルフィに恋してしまった御曹司ポールは義体の操縦者P・バーグの居場所を突き止め、誤解から彼女の神経ネットワークを引き裂いて殺害してしまう。かなり救いようのない物語。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;現代で言い換えると、VTuberにガチ恋してしまったオタクが前世と知らずに中の人に出会ってしまい、勘違いで殺してしまう話になる。まさに予言のSF。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;広告を規制しても抜け穴を見つける企業の狡猾さや、巨大資本に利用される個人の構図の生々しさ、アバターである理想の自分と現実のギャップなど、SNS時代に刺さるテーマが詰まっている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;これが1970年代に書かれてるのはティプトリーの先見性に脱帽するしかない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;醜い女性、義体との接続が切れても動いてしまう残留思念の描写から、飛浩隆「ラギッド・ガール」の元ネタであると思われる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;サイバーパンクの先駆け的作品と聞くし、いろんな作品に影響を与えてそう。おそらく攻殻機動隊もかな。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;それにしても翻訳の問題なのかけっこう読みづらかった。古典はこういうのがあるよなー。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;地の文が「オタクは〜」と語りかけてくる文体で、今となっては馬鹿にされてるみたいでじわる。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>タンジェント</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/tangent/</link>
      <pubDate>Mon, 22 Sep 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/tangent/</guid>
      <description>&lt;p&gt;4次元数学SF。高校生の時に読んだ、&lt;a href=&#34;https://www.nippyo.co.jp/shop/book/5996.html&#34;&gt;「四次元が見えるようになる本」&lt;/a&gt;を思い出す、というかその内容まんまだった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;これを読んで４次元が見えるようになったので、当たり前ことが書いてるな〜という感想。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;話の筋としては、4次元からやってきた不思議な少年が、4次元の仲間に気付いてもらうために音楽を作成、仲間がやってきて4次元に連れ戻してくれる。その後、3次元世界で関わった人たちに「4次元はいいぞ」と勧誘してくる、というだけの話ではある。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;タシーという人物、まちがいなくアラン・チューリングをモデルにしてると思われる。イギリスの数学者、同性愛、＜エニグマ＞&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;4次元の物体が3次元世界の生物からどう見えるか？という描写が視覚的にわかりやすく表現されている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;高次元の数学ネタをうまくSFとして落とし込んでいて、古き良きSFだった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;&amp;ldquo;数学SF&amp;quot;としては円城塔やルーディ・ラッカーのSFだったり、イーガンのルミナス、暗黒整数だったりのほうがやっぱり現代的でおもしろい。数学はいいぞ。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>冷たい方程式</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/cold_equations/</link>
      <pubDate>Mon, 22 Sep 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/cold_equations/</guid>
      <description>&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;ただ一人の乗員を目的地に届ける片道分の燃料しか積んでいない緊急発進艇に密航者がいたら、パイロットがすべきことはただ一つ ーーー船外遺棄だ！　だがそれが美しい娘で、しかもたった一人の兄会いたさに密航したのだとしたら、あなたならどうする？&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;宇宙版トロッコ問題。ずっどうだうだやっておいて結局少女を殺すしかないというのはちょっと面白い。さすがになんか画期的な解決策があると思うじゃん。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;にしてもこの宇宙船、余裕なさ過ぎだろ&amp;hellip;というのはさすがに野暮か。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;相手が少女だからってあからさまに態度変えてるってのがちょっとなあと思った。相手がおっさんでも事情を聞いてやれよ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;そもそも、相手を認識する前に処理するのがセオリー、と虐殺器官にも書いてある。少なくとも自分が主人公ならそうする。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;あからさまに情に訴えかける系はたいてい共感できないし、共感できないことに謎の罪悪感が生じるのでなんか苦手なんだよな&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ぶっちゃけ、家庭の事情をもった罪のない美少女を殺すしかないシチュエーションってよくそんな趣味の悪い物語を書くなあ、としか思えない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;さすがにこてこての古典だなあと感じる作品だったが、超シンプルな設定でジレンマもの？の原点を知れたというのは良かった。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>ビット・プレイヤー</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/bitplayers/</link>
      <pubDate>Sun, 21 Sep 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/bitplayers/</guid>
      <description>&lt;p&gt;洞窟の中で目覚めた主人公。洞窟の入り口で正面から見た景色は空、下は絶壁という不可思議な世界。どうも、この世界では東に向かって重力が働いているらしい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;イーガン流の異世界転生もの。ただし主人公が（いつも通り）超賢いため、考察と実験で物理法則の矛盾に気づいてしまう。やっぱりイーガンって最高だよな。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;いろいろあって、主人公たちはNPCとしての存在であり、世界は三文小説を元にしたゲーム世界であると示唆される。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;そこから世界の物理法則の矛盾がどう引き起こされているのか、もし物理エンジンでシミュレーションされた世界だとしたとき、引き起こされた物理的矛盾がどう処理されるのかを追求していくのがまた&amp;hellip;イーガンらしくて良い&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;思考実験って感じでワクワクする。これぞSFの醍醐味。この短編に関してはかなり皮肉が効いているような気もするが。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;訳者あとがきによると続編があるらしい。はやく翻訳してください。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>アメリカン・ブッダ</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/americanbuddha/</link>
      <pubDate>Wed, 17 Sep 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/americanbuddha/</guid>
      <description>&lt;h2 id=&#34;雲南省スー族におけるvr技術の使用例&#34;&gt;雲南省スー族におけるVR技術の使用例&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;生まれた時からVRヘッドセットをつけたまま過ごす民族の話。タイトルがもう面白い。&#xA;真面目な語り口のおかげでそういう民族が実在するっぽい気がしてしまう。ただツッコミどころは無限にある。&#xA;病気になったらどうすんねん、とかヘッドセットつけっぱなしは痒くなるだろ、とかVRのメンテナンスとバージョンアップをどうすんねん、とか。キリがない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;いろいろ無理があるなあと思いつつも面白かった。「実はあなたたちが現実と認識してるものも仮想なのでは？」というメッセージも秀逸。無理があるけど。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;スー族が体験する&amp;quot;点と線だけの世界&amp;quot;というのが&amp;quot;小説を読むことで認識する世界&amp;quot;にまるまる当てはめられるのは上手いなとも思った。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;アメリカンブッダ&#34;&gt;アメリカン・ブッダ&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;疾病と災害でアメリカは荒廃。住民のほとんどは本体を冷凍保存し、仮想空間に逃げ込んでのんびりと快適な生活を送る。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;そこに突如として仏教徒のインディアンが現れ、アメリカへの帰還を促す話。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;Mアメリカの設定にイーガンのディアスポラや順列都市みを感じる。影響されてるのは間違いなさそう。柴田勝家は大学時代に新入生にイーガンを読ませていたらしいし。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;仮想空間内で作った自分の子供を削除できるというのはAIに人権なさ過ぎてギョッとする。偽物の世界という表現なんだろうけども。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;仏教にあまり詳しくないせいで最後のオチはポカーンとなった。調べて納得、ミラクルみろく。&#xA;それにしても56億年って実時間じゃなくて主観時間でいいのか&amp;hellip;？56億7千万年とかいう数字は適当だろうしまあええか。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;おもしろかったが、これもツッコミどころはいろいろあった。以下ツッコミ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;何万年も経ってるのに世界にたいして変化がなさそう&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;時間が引き延ばされた仮想世界で現実をなんとかできるのでは？&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;数年で仮想世界に行くことを選択するアメリカ人、判断が早すぎる&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;ドローンで監視してるなら実世界に戻れるかもわかるのでは？&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;脳を凍結して仮想空間に接続って処理はどこで行われてるの？コピーした方が良くない？&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;p&gt;まあ。タイトルが面白いのと、インディアンにアメリカ大陸返還、ミラクルみろくってのが面白かったので満足。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>もののあはれ</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/mononoaware/</link>
      <pubDate>Wed, 10 Sep 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/mononoaware/</guid>
      <description>&lt;h2 id=&#34;もののあはれ&#34;&gt;もののあはれ&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;自己犠牲ヒロイック精神で間違いなくいい話なんだけど、いかにもステレオタイプな日本観でなんか笑ってしまう。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;おれは日本人の心をもってないのかもしれない&amp;hellip;と多少不安になった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;円弧&#34;&gt;円弧&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;不老不死もの。&#xA;死があってこそ生に意味が生まれる、まあ、せやな&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;無限に可能性があるからって全てを先延ばしにして何も成し遂げられないのはなんかわかる笑&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;主人公が自己中心的すぎるせいでまったく好感がもてなかった&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;波&#34;&gt;波&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;世代宇宙船に不老不死の技術がもたらされるが、それを利用するか？という逡巡というか議論が起こるのが新鮮。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;短編集の中で一番スケールがでかいSF。神話ネタが多く、文学性も高い。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ケン・リュウってSFファンというよりは文学好きに評価されてるイメージ（というか偏見）。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;1ビットのエラー&#34;&gt;1ビットのエラー&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;信仰は脳のエラーに過ぎないと信じる主人公が、信仰を持つ？彼女の事故死をきっかけに信仰心を持とうとする話。&#xA;なんか既視感あると思ったらテッド・チャンの「地獄とは神の不在なり」ネタ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;しかし、まさに1ビットのエラーによって信仰心が芽生えた直後、それがエラーであることを認識してしまって信仰心が消えてしまう。&#xA;まさに「地獄とは神の不在なり」なオチ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;宇宙線でメモリエラーが発生してしまうのはIT系以外の人に伝わるんだろうか？&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;良い狩りを&#34;&gt;良い狩りを&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;終盤カオスな展開で超エモい。今まで読んだ中で一番良かった。&#xA;SFマガジンのオールタイムベストに入ってたのも納得。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>鰐乗り</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/riding_the_crocodile/</link>
      <pubDate>Sun, 07 Sep 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/riding_the_crocodile/</guid>
      <description>&lt;h2 id=&#34;鰐乗り&#34;&gt;鰐乗り&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;「白熱光」の世界観で繰り広げられる、スケールが馬鹿でかい夫婦の惚気。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;「結婚生活一万と三百九年目、リーラとジャシムは死ぬことを真剣に考え始めた」この書き出しのパンチラインよ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;人生飽きちゃった夫婦が人生を終わらせる前の最後の冒険として、バルジ内に存在する、こちら（融合世界）からの通信に一切応じない超文明＜孤高世界＞の調査に乗り出す。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;孤高世界から漏れ出た通信を傍受するために、周辺に文明のない超田舎の宇宙空間に観測所をどうやって設立するか？というくだりが最高にハードSF。こういうところでやはりイーガンは別格だなーと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;そしてそれを見ず知らずのどこかの異種族が要求に応じ、超精度で成し遂げてしまうというのが、いかにも楽観的なイーガン世界観。（馬鹿でかいスケール、工学っぽい泥臭さを一切感じさせない科学の進歩、みんな友好的な文明&amp;hellip;）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;永遠の寿命を得られた人類が人生をどう完結させるか？というテーマはディアスポラと同じ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;こっちの方が短い中編だし、エッセンスを摂取できて良いかもしれない。ラストも感動的だしね。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>ディアスポラ</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/diaspora/</link>
      <pubDate>Tue, 19 Aug 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/diaspora/</guid>
      <description>&lt;p&gt;再読。やはり最高のSF。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;以下適当感想。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;ワンの絨毯はやっぱり面白い。宇宙人を探した結果、宇宙を見つけてしまうとかいうぶっ飛とびアイデア&amp;hellip;　しかもこれがディアスポラ計画そのものに対する皮肉になっているのが面白い。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;途中からオーランドが実質主人公なんじゃないかってくらいヤチマの陰が薄い。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;ヤチマに人間の心があまりなくて驚く。パオロに笑いながら酷い冗談いうし。&#xA;孤児だから、ということなんだろうけども。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;最後にヤチマがパオロに子供でも作る？と聞いて「うーん君とはちょっと&amp;hellip;」って拒否られるのは笑った。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;散々トランスミューターの後を追っかけて最終的に出会えないのはやっぱり面白い。結局引きこもってるしなんなんだあいつら。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;最後のヤチマの選択はやはり泣く。すべては数学なのだ&amp;hellip;（イーガン数学好きすぎだろ）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;とてつもなく遠くまで旅をした結果、原点に立ち返って序盤を回収していくのは感動的。このラストだけで最高傑作だと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;今回再読してパオロの選択もいいな&amp;hellip;と思った。人生の完結。一番幸せかもしれない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;ディアスポラ、改めて「無限の寿命があった時にどう人生を終わらせるか？」の物語だなと思った。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>頂点都市</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/tenpercentthief/</link>
      <pubDate>Sun, 17 Aug 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/tenpercentthief/</guid>
      <description>&lt;p&gt;コッテコテのディストピア群像劇って感じでまあまあだった。オチも普通だし&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;連作短編になっていて、それぞれの話は面白いものもけっこうあった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;特に印象に残ってるのは絵文人の話。しょうもないコミュニケーションツールの開発に躍起になって、クリティカルな環境問題から目をそらすあたりが現代の社会風刺になっていて良かった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;あとはアナログ民出身であるためにヴァーチャル民が当然のように使える超便利デバイスをつかえない環境で頑張るピアニストの話とか、アルゴリズムに行動を支配されるカップルの話とか。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;現代への警鐘を感じさせる寓話的な短編が多くてそこは良かったと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ただ、物語のドライヴ感みたいなものはなかったかなー。&#xA;メインの主人公がいないのはやっぱり乗り切れないところがある&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;今回、インド発ってことで注目されたのかな？&#xA;インド文化に詳しくはないけど、あまり独特な印象はなかったな。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>反転領域(超ネタバレ)</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/eversion/</link>
      <pubDate>Thu, 14 Aug 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/eversion/</guid>
      <description>&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;初アレステア・レナルズ。スペースオペラの人、というイメージで、「啓示空間」はずっと積んでいる。1000ページ超えのスペオペはなかなか腰が重い&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;今回、あらすじで19世紀の航海ものと知って、読む前から夢オチ（実は宇宙でしたー）だったら嫌だなーと思いながら読んでたら本当にそうで萎えてしまった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;そんなことを考えながら読んでいたのもあって、何度も夢を繰り返すシーンはくどく感じた。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;意外な展開といえばそうなんだけど、どれもなぜか既視感あるものばかりで驚くというよりはへえ〜って感じ。AIネタも手垢がつきまくってるというか&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;SFだけどギミックはかなりミステリだよなー。どんでん返しありきで作られた感じがする。そういうのは正直もう飽きちゃった&amp;hellip; なんか最近はホラー✕ミステリみたいに、他ジャンルにミステリ要素を絡める作品が流行ってる気がする。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;あまりフィクションに触れてない中学生の頃に読んでたら大興奮してたかも。記憶を消したい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;球の裏返し問題が小説そのもののメタファーになってるんだと思うけど、なぜあの問題を解くことがみんなを救うことにつながるのか、という部分が無理矢理に感じた。なぜか船員に数学マンがいるというのはシュールで面白かったけど。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;全体的に良くできているし面白くはあった。傑作というほどではないな&amp;hellip;くらい。あととてつもなく読みやすかった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;&#xA;&lt;p&gt;これならなんとなく敬遠してた啓示空間もサクサク読めそうに思えたので、レナルズ作品に触れられたという意味でも良かった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>ランドスケープと夏の定理</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/landscape/</link>
      <pubDate>Wed, 30 Jul 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/landscape/</guid>
      <description>&lt;p&gt;姉SFとは聞いてたけど、調べたら「姉」と言うワードを1000回近く使っていてうける。&#xA;理不尽な天才物理学者の姉に気弱な弟がめちゃくちゃにされるシスコン&amp;amp;ブラコンなハードSFで、ストーリーはかなりラノベ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;「定理を証明することで世界が変わる可能性」っていう、イーガンの万物理論みたいな話してんなーと思ったら、あとがきでイーガンの話をしまくっていてよかった。万物理論をかなり意識して書いたらしい。ハードSF作家でイーガンの影響を受けてない人はいないんじゃないかな。みんな大好きグレッグ・イーガン。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;著者の高島さんは東大物理学科&amp;amp;東京藝大卒という異色の経歴で、今はSF考証を仕事にしているらしい。今回、水星の魔女のSF考証とノベライズで知って興味をもった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;実際、一般の人は知らないけど重要な定理（ネーターの定理とか）の話をしていて、この人たしかに物理学徒だなーと。こういう地味な部分がハードSFの説得力をもたせるよな。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;とはいえ、小説として面白かったかと言うと正直かなり微妙だったかな。&#xA;SF部分が抽象的すぎてなかなか登場人物の行動と結びつかなかったり、具体的なイメージをしずらい感じがあった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;擬似理論をひたすら説明するような文章が多くて、これ小説である必要あんのかなーと。知性定理のアイデア自体は面白いんだけど&amp;hellip;&#xA;それによって物語がどう動くか、というのが弱かった気がする。&#xA;でもそれをやろうとするとだいたいセカイ系になっちゃうしなー。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;この辺はハードSFの難しさというか、二話目からは面白いハードSFの条件ってなんなんだろうなーって考えながら流し読みしてた。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;物理出身の人がやたら抽象的な話をしたがるの、気持ちはわかるんだよな。&#xA;面白い小説の法則として、抽象的な話と具体的な話はやっても3:7くらいの割合が限度じゃないかなと思ってる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;小説（というか物語全般）って具体的な話を通して抽象的な話をするものだと思うので、抽象的な話ばかりだと読者は置いてけぼりになってしまうし、小説である意味がなくなってしまう。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;というか万物理論の凄さをあたらめて実感した。かなりの割合で小難しい抽象的な話をしているのに面白い。あれはなんなんだろうな&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;AC理論（とかいう陰謀論）がいいフックになってるのと、人工島ステートレスのサイバーパンクな雰囲気、反知性カルトが蔓延ってる世紀末的世界、豪華に投入され続けるSFガジェット&amp;hellip;&#xA;いろんな要素が絡み合って重厚な読書体験を作り出している。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;そう考えるとランドスケープと夏の定理みたいな抽象理論の思弁SFは長編向きなのかもしれない。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>脳は世界をどうみているのか？</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/20250710/</link>
      <pubDate>Thu, 10 Jul 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/20250710/</guid>
      <description>&lt;p&gt;第一部は真面目に脳研究の話をしていて面白かった。ただ、第二部はAI、特にAGIの話題に移り、第三部に至っては、「人類が滅んだ後に地球に訪れた知的生命体のためにどうやって文明の痕跡を残すか？」みたいな話をしだしておもしろSFプロトタイピング集だった。&#xA;はっとさせられるアイデアも多くて面白かったー。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ということで、この本はSFです。（断言）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;個人的に一番印象に残ったのは、脳をデジタルにアップロードできたとして、それはあまりうまくいかないだろうという予想。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;これは第一部の脳研究紹介で、脳の真皮質を構成する細胞（皮質カラム）が座標情報を保存することで世界モデルを学習しているという筆者の仮説に基づいている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;つまり、外世界と作用することで得られる感覚器官からの入力をもとに世界モデルを構築することが知能にとって必須だということ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;脳をそのままアップロードした場合、肉体を持たないので感覚の入力はない。ある程度はシミュレートできるだろうが、それは満足するものにはならないだろう、というのが筆者の主張だ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;自分自身、肉体と精神は完全に切り離せるものではなく、両方があってこそ成り立つものなのでは？という考え方に変わりつつあったので、この意見はかなり納得できると思った。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;まあ、いずれにせよ自分が生きている間には実現しない技術だと思うが&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;冷静に考えて、何千億個もある脳細胞を完全にコピーできるよう時代が100年以内に来るとは思えない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;前作の「考える脳、考えるコンピューター」も面白かった。&#xA;20年近く前の著作だけど、”知能とは予測する能力”という定義はなるほどと思わされたし、未来予想も刺激的だった。しかも、20年経った今答え合わせをすると結構当たっている部分があってすごい。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>オーラリメイカー[完全版]感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/20250629/</link>
      <pubDate>Sun, 29 Jun 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/20250629/</guid>
      <description>&lt;p&gt;最新作に触れてからデビュー作に触れると粗削り感があるなーというのが正直な印象。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;さすがに4視点は多すぎない？？&#xA;時代もあっちこっち飛ぶので、ページを行ったり来たりして読書体験としてあまりよくなかった。一億年のテレスコープではこれらの不満点がすべて改善されていたので笑った。作家も日々進歩しているのだ&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ずっと淡々としているので物語としての盛り上がる展開も薄い。&amp;ldquo;わたし&amp;quot;が登場するのも中盤からで、時間が飛びまくってるのもあって自分には感情移入できなかった。まあこれは年代記ものの弱点と言えるよなー。同じようなことを「はじめてのゾンビ生活」でも思った。&#xA;時間が飛び飛びになるとどうしても思い入れがね&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;とはいえ、&amp;lt;系外進出&amp;gt;シリーズの一巻としてみると設計図的な位置付けになっていて、これからの広がりに期待できるし、面白い設定が凝縮されているなと感じた。連合とDIの設定だけでご飯何倍でも食べれる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;最後の章は地球のことなんだろうなと思う。最終的に地球に繋げるのは他の作品でもやってるし、40億年前というのが決定的。わざわざ地球標準年を用いてるあたりそうとしか考えられない。まあ、取ってつけた感は否めないけど&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;春暮康一、影響を受けたと公言しているだけあって、イーガンに近いものを強く感じる。人間はいくらでも改変・進化できるという思想に基づいた人類賛歌、科学技術への楽観的な態度なんかは特に。同じイーガンファンとして共感せざるを得ない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;最新作の一億年のテレスコープを読んでからデビュー作を読んだのは失敗だったなー。&#xA;作家読みで一気に最新作から過去作へ遡る読み方、同じネタをブラッシュアップしてることも多いし、相対的に微妙になっていくのでよくないということを白井智之の時に学んだはずなのに&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;逆にいうと作家として進化しまくってると言える。というか全作面白いのは面白いので（最新と比較すると微妙というだけで）、化け物すぎる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;収録されている「虹色の蛇」と「滅亡に至る病」も良かった。&#xA;というかこれらの短編の方が圧倒的に読みやすいし、脳内に浮かび上がるイメージも壮大で美しかった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;やっぱり春暮康一が描く変な生き物は最高に面白い。&#xA;一生変な生態の宇宙生物を書いててほしいぜ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;春暮康一作品はほぼ全部読んだ（あとピグマリオンのみ未読）けど、全作品が面白い作家って滅多にいないので出会えてうれしい。今後も全力で追っていく所存。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『回樹』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/kaiju/</link>
      <pubDate>Thu, 22 May 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/kaiju/</guid>
      <description>&lt;h3 id=&#34;回樹&#34;&gt;回樹&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;回樹という魅力的な未知の存在を提示しながらも、出現した真実はほとんど回収されず「主人公の感情を判定する」というあくまでも超個人的なことに利用されているのがとても面白かった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;回樹の性質が並べ立てられ、それを手がかりとして主人公の動機が浮かび上がってくるミステリ。&#xA;そういう意味でこの作品はSFでなく特殊設定ミステリだと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;特殊設定ミステリとSFの違いは、ざっくりいうと外向きか内向きかで判断している。&#xA;ミステリは真実を追求し内側へと向かう箱庭パズルで、SFは外側へ向かう壮大な思考実験という名の法螺、というのが個人的な定義。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;冒頭の取り調べから始まるシチュエーションといい、やっぱり斜線堂有紀ってミステリ大好き人間なんだなと思った。そのシチュエーションいいよね。わかる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;不滅&#34;&gt;不滅&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;こちらは疑う余地のないSF。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;特殊な状況になった社会でそれぞれの人間の思想や情念を描く。この普遍性こそがSFの醍醐味だよなあ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;腐らなくなった死体を利用するという悪魔的発想から、それぞれの死生観、未来の人々のために今の人間ができることは？という深い話に持っていくのは流石すぎた。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ドキュメンタリー形式なのはテッド・チャンの「顔の美醜について」をちょっと思い出したり。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;SFの傑作短編。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>イーガンの Vouch for Me を読んだ</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/vouchforme/</link>
      <pubDate>Sat, 05 Apr 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/vouchforme/</guid>
      <description>&lt;p&gt;イーガンの短編Vouch for Meが原文で&lt;a href=&#34;https://analogsf.com/wp-content/uploads/2025/03/VouchForMe_Egan.pdf&#34;&gt;無料公開&lt;/a&gt;されていたので読んだ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;あらすじ&#34;&gt;あらすじ&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;HHV-10というウイルスが蔓延した近未来。主人公ジュリアの家族も全員感染している。このウイルスは数十年の潜伏期間の後に脳炎を引き起こし、そこから回復しても過去の記憶を失ってしまうという後遺症がある。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;そのため、感染した人々は回復後の自分に記憶を引き継ぐために、自分の人生を詳細に記録している。それは手書きの日記であったり、ビデオ日記だったり、はたまた&amp;quot;Lockut&amp;quot;というAIアシスタントに教え込ませたり(「ぼくになることを」の&amp;quot;宝石&amp;quot;が思い起こされる)。人によって手法は異なる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;しかし、日記を第三者に改竄される可能性をどうしても排除しきれないため(作中では筆跡の高度な偽造プログラムが存在したりする)、記憶を失った自分にとって、その記述が真実であると完全に信頼できる保証はない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;データセキュリティの専門家であるジュリアは、自分の記憶を完全に保護する方法として磁気誘発性リン光を利用した認証システムを開発することで、その問題を解決する。その間に夫のパトリックに脳炎が発症し&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;感想&#34;&gt;感想&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;コロナ禍を思い起こさせる災厄で引き裂かれた人々とアイデンティティの話をしていて、かなり「堅実性」に近い話だと思った。&#xA;今回も登場人物はみんな善い人で、それだけに終盤の展開はつらく、かなしい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;で、この短編のテーマと言える、記憶を失った自分は自分と言えるのか？という点に関して。&#xA;自分としては、記憶を失った自分はほぼ他人という感覚がある。&#xA;なので記憶を失った未来の自分のために詳細な記録を残すことはしない気がする。めんどくさいし。&#xA;なんかまあ大変だろうけど頑張ってくれ。未来の俺。&#xA;と同時に、そういう考えになるのは自分が気楽な独り身だからであって、家族がいる人にとっては事情が違ってくるんだなあということも気付かされた。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;それにしても最近のイーガン作品は本当に読みやすい。もう高度な数学・物理学を駆使したハードSFを書くのは直行三部作でやりきってしまったのかもしれない。&#xA;とはいえ初期からのアイデンティティを追求する厳格さ・繊細さは健在なので面白い。むしろ読みやすくなったことで人に勧めやすくなっていいかも。短編集が出てくれれば&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;翻訳&#34;&gt;翻訳&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;今回、もちろん原文のまま読んだ&amp;hellip;わけはなく、AIエージェント(claude code)を駆使して丸ごと翻訳してもらった。かかった費用は3ドル程度。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;PythonスクリプトでPDFから本文を抽出し、それをAIエージェントに一章ずつ翻訳させながら、登場人物や世界設定、SF用語をまとめて記述するファイルに追記させるという手法をとった。&#xA;この設定ファイルを常に参照させることで、AIは一貫した翻訳を行うことができる（AIは記憶の保持が苦手なため）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;SFの翻訳は独自の用語が出てきたりするため難しいと思っていたが、ほとんど違和感なく読めた。AIすごすぎる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;本文のテキストファイルさえあれば、この方法でどんな長さの小説でも読める水準の品質で翻訳できると思う。問題はテキストファイルとして抽出するのが難しい点だが&amp;hellip;（今回はPDFで公開されていたため抽出が簡単だった）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;と思って調べてみたら、kindle書籍を自動でスクリーンショットしてOCRで画像からテキスト抽出という方法があるらしい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ただ、あくまで私的な利用とはいえ、著作物を丸々AIに投げているので若干グレーな気はしている&amp;hellip;&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>SFマガジン2月号（オールタイムベストSF）</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/alltimebestsf/</link>
      <pubDate>Wed, 01 Jan 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/alltimebestsf/</guid>
      <description>&lt;h2 id=&#34;オールタイムベストsf&#34;&gt;オールタイムベストSF&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;国内&#34;&gt;国内&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;ハーモニーが1位。伊藤計劃はやっぱり強い。なんだかんだでまだまだ伊藤計劃以後なんだなあ。正直そろそろ終わってほしい。&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;なめ敵も面白かったけど、かなりゼロ年代・伊藤計劃以後なんだよな&amp;hellip;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;唯一レベルで令和のSFである春暮康一に期待。逆に春暮康一・小川哲以外はベテラン作家ばかりだな&amp;hellip;オールタイムベストだからそういうものか。&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;作家部門の1位2位が小松左京・筒井康隆だったけど普段SNSでは話題を見かけないので本当に？と思った。SFマガジン購読者ってかなり年齢層が高そう。偏りを感じる。&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;海外&#34;&gt;海外&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;短編はやはりテッドチャンが強すぎる。ほとんど無双状態。&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;海外SFはとりあえずイーガンとテッドチャン読んどけばええねん！と思わずにはいられない。（よくない）&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;2位にプロジェクトへイルメアリー、3位に三体は予想通りとはいえ嬉しい。PHMは誰にでも勧められる最高のワクワク科学SF。PHMを義務教育に組み込めば理系が爆増すると思う。それくらいの力がある。&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;1位はソラリス。名作だと思うけど自分はそこまでハマらなかったなー。動きが乏しいし。海外文学もだけど膨大な知識で煙に巻く系はあんまり&amp;hellip;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;全体&#34;&gt;全体&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;ランクインしてる中で実際に読んでるのは1割くらい？全然読んでないな&amp;hellip;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;海外長編に限ると半分くらい読んでいる。やはり自分は海外SFが好きだ。国内はあんまり読む気しないんだよなー。唯一よむ飛浩隆は超寡作だし&amp;hellip;(しおつきの帯に8年ぶりの短編集って書いてあってビビった&amp;hellip;)&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;全体の票数をみるに投票者数は500~600人くらい？SFファンってやっぱ少ないな&amp;hellip;（自分も投票してないが）今時わざわざSF読むのはかなりの物好きという事実を突きつけられて複雑な心境。&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;この投票、国内/海外、短編/長編で各5作品（計20作）だった気がするけど、そんなの相当なSFファンじゃないと選べないと思う。自分のオールタイムベストをここに書こうと思ったけど、選ぶのがめんどくさすぎるのでやめた笑。そういうこと。&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;読切アフターゼログレッグイーガン&#34;&gt;読切『アフター・ゼロ』グレッグ・イーガン&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;p&gt;地球温暖化が進む未来。地球と太陽の間に巨大レンズを設置し、太陽光を散乱させることで気温を下げるプロジェクトを立ち上げる主人公に対し、時間の門を建造して歴史を塗り替えるというトンデモプロジェクトと融資を争う政治的展開でめちゃくちゃ社会派SFだった。それにしても、票数で勝つために相手の票を分散させるみたいな戦略がやたら実践的で笑う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;反知性的な集団によって世の中がおかしな方向に進んでしまう警告は万物理論でも描かれていたが、こっちはより現代へのリアルタイムなメッセージ性が強いというか、昨今の情勢をみてると全然笑えないよなーとなった。「堅実性」のときも思ったけど、最近のイーガンの作風はかなり社会派に寄っていて、ハードSF要素はかなり控えめになってるっぽい。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『虐殺器官』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/genocidalorgan/</link>
      <pubDate>Wed, 27 Nov 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/genocidalorgan/</guid>
      <description>&lt;p&gt;約10年ぶりの再読。今年はちょうど伊藤計劃生誕５０周年らしく、勝手に再読の波動を感じている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;SFを全然読み慣れてなかった当時は「ほーん」くらいの感想だったけど、今読むと「ほほーん」だった。というのも、パラニュークの「ファイトクラブ」「ララバイ」の影響はしっかり感じ取れたし、当時はよくわからなかった軍事や政治の描写もそこそこわかるようになっていた。成長を感じる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;クラヴィスのルツィアへの執着や母親の死を選択した葛藤はやっぱりよくわからなかった。感情をマスクするテクノロジーによって精神的に成熟できない青年の葛藤。軍人なのに繊細でくよくよ考えてるアンバランスさを描きたかったんだろうなと想像するけど、それだけに全く共感できないし、これからもよくわからないんだろうなあと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;それにしてもここまでディティールに凝ったものを10日で書いたというのは驚いた。メタルギアソリッドのファンだからもともと軍事系の知識が豊富だとしてもすごい。巻末の円城塔との対談で「ディティールを異様に細かくしていけば普通のことを書いてもSFになる」というギブスンの言葉には感心。というか、最後の対談が一番面白かった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;たしかに円城塔と伊藤計劃って作風が真逆なんだよな。円城塔はディティールそっちのけで抽象化された構造に着目してる作風。そりゃ途中から引き継いだ屍者の帝国が読みづらいわけだ。昔挫折したので近いうちに再挑戦したい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;当時のインタビューやSFマガジンを読むと「伊藤計劃以後」とやたら言われてたようだけど、どうも自分の中では伊藤計劃のどこが画期的だったのか、何が時代の転換点だったのかよくわかっていない。誰か解説してほしい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ゲームやアニメの影響を色濃く受けたSF作品というくくりだとゼロ年代がそうだったように思うし、翻訳っぽい文体もそれほど珍しいものではなかったんじゃないかと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;虐殺器官の、テクノロジーによる感情や痛みの操作については、作者の伊藤計劃の闘病生活と重ね合わせることで物語のリアリティや迫真感が増しているなあと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;自分の中での伊藤計劃という作家は、作家の闘病人生が紡ぎ出す物語と密接に関係しているためにそれ自体が物語化していて、作品ごとに自分の中での問いを進化・深化させていく、というところに凄みがあったとは思っている。それだけに早逝したのは本当に惜しい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;あと生前のブログもたまに読んでいるが文章力がすごい。こんな批評が書けるオタクになってみたかった。文章力ってどうやったら上がるんだろうなあ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ハーモニーも再読予定なので楽しみ。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『本の背骨が最後に残る』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/spineofbook/</link>
      <pubDate>Mon, 11 Nov 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/spineofbook/</guid>
      <description>&lt;p&gt;読書会の課題作。斜線堂ファンのプレゼンに愛がこもっててすごく良かった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;斜線堂作品は「夏の終わりに君が死ねば完璧だったから」「私が大好きな小説家を殺すまで」「恋に至る病」の初期強感情三部作(？)は読んでいて、「エモい関係性のオタクなんだな〜」という印象を持っていた。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;本の背骨、全編を通して痛みや残虐性に美しさを見出していて最高に趣味が悪い（褒め言葉）。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;本の背骨が最後に残る本は背骨が最初に形成る&#34;&gt;「本の背骨が最後に残る」「本は背骨が最初に形成る」&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;めちゃめちゃエンタメミステリしてる。&#xA;詭弁バトルを繰り広げるのは神弁護士ドラマのリーガル＝ハイを思いだした。&#xA;オーディエンスを納得させることが第一で真実は二の次という価値観。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ミステリというジャンル自体、探偵の独りよがりの推理を周りに納得させるものだと思ってる節があるのでこういう話は好き。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;少し脱線するけど、小説の解釈違いは読書界隈ではあまり起こらない印象だが、アニメとか漫画の界隈ではキャラの解釈で戦争が起こったりしてるらしい。&#xA;人それぞれの思い描く理想が存在するんだろうなと想像する。そういう意味では二次創作バトルとでもいえるかもしれない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;死して屍知る者無し&#34;&gt;「死して屍知る者無し」&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;宗教的な村っぽいけど、コミューンの真相が全く明かされないのがこわさを引き出していて良かった。&#xA;&amp;ldquo;転化&amp;quot;が&amp;quot;コピー&amp;quot;だったらそういうアイデンティティネタのSFはわりとあるよな〜。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;ドッペルイエーガー&#34;&gt;「ドッペルイエーガー」&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;こういう分かり合えない話は好き。まあ婚約者が自分のコピーを虐めてるのは流石に引くわ&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;痛妃婚姻譚&#34;&gt;「痛妃婚姻譚」&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;本当に救いがない（笑）。これは特に初期作品っぽい関係性のエモさが出てたように思う。&#xA;幻想的で耽美な雰囲気がよかった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;金魚姫の物語&#34;&gt;「金魚姫の物語」&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;斜線堂有紀はとにかく理不尽なシチュエーションが好きなんだろうな。&#xA;テッド・チャン『楽園とは神の不在なり』にインスパイアされて『楽園とは探偵の不在なり』を書いたというのは知っていたのでなるほどね〜となった。&#xA;それにしても降涙、現象としてあまりに地味すぎる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;デウスエクスセラピー&#34;&gt;「デウス・エクス・セラピー」&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;一番完成度が高いと思った。序盤のそそるシチュエーション、どちらが本当のことを言ってるのかわからないハラハラ感、ラストのSF的回収。&#xA;すごくきれいにまとまってる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;まとめ&#34;&gt;まとめ&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;斜線堂さんはSF、ミステリ、恋愛、幻想&amp;hellip;と色んなジャンルが書けて芸が広いですね。あと本作は格調高い文体で書かれていてそこもすごいなと思った。なんでもできちゃうとんでもない作家だ&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;「痛みや残虐性に美しさの価値を見出す」という点で飛浩隆『グラン・ヴァカンス』を彷彿とさせた。残酷さを凝縮してできた宝石って感じの凄まじい傑作。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;デウス・エクス・セラピーが過去改変バケーションだったり、ドッペルイェーガーがVR空間で自分の分身を虐める話だったりなのが特にグラン・ヴァカンス感あるなーと思ったんだけど、どうなんだろう（もともと初収の「異形コレクション」のお題が&amp;quot;バケーション&amp;quot;だったらしいので違うかも）。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;グラン・ヴァカンス、有名な傑作SFだし斜線堂有紀も読んでいるんじゃないかな。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『万物理論』解説的メモ</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/distress/</link>
      <pubDate>Sat, 26 Oct 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/distress/</guid>
      <description>&lt;p&gt;扱うトピック・ガジェットが多岐にわたり、それぞれが絡み合っている。&#xA;まさにうんちくマシマシ・思想つよめのラーメン二郎的SF小説といえる。&#xA;全部は無理なのでメインストーリーに絞って自分の理解をメモ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;以下、ネタバレ全開です。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;混合化アレフとは何だったのか&#34;&gt;混合化（アレフ）とは何だったのか&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;一言でいうとセカイ系。エヴァ旧劇の『air/まごころを、君に』とかかなり近いかも。&#xA;＜基石＞によって宇宙が説明され、世界が生じるという&lt;strong&gt;人間宇宙論（AC）&lt;/strong&gt;。&#xA;カルト宗教が提唱するトンデモ理論が実は本当だった！！&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;モサラが残した論文をカスパー（人工知能）の力を借りて読むことで基石になったアンドルーは「他人の精神は説明できない（他者理解は錯覚）」ことに思い至り、みんなが基石になることで宇宙が存続する。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;『一つの精神が、それひとつきりで、別の精神を説明することで存在させられるものだろうか？』&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;答えは否。これを説明しなかった（できなかった）ためにカスパーは基石になれなかった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;そして、宇宙の中心から自分を引き剥がすためにぼくがしなくてはならないのはーー宇宙の解体を防ぐためにぼくがしなくてはならないのはーー幻想(ゆめ)の最後のひとつを捨て去ることだけだった&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;幻想（ゆめ）とは他者は理解可能であり、愛や共感は自己欺瞞ではないという希望のこと。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;みんなが基石となった混合化以降の世界では、愛は自己欺瞞という自閉的な事実をみんな共有しており、これに絶望した人たちが大量に(900万人)自殺している。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;また、エピローグでは他者理解を司る&amp;quot;ラマント野&amp;quot;の切除が常態化していることが示唆されている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;序章のアンドルーが今までの恋愛でことごとく失敗し続けていたこと、愛は自己欺瞞と主張する自発的自閉症協会がオチに関わってくるとは。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ラストの混合化シーン、主人公の”基盤も固定点も持たないために立ち泳ぎしている状態”が人工島ステートレスに重なり、すべてが収束していく強烈なカタルシスがある。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;人間宇宙論ac&#34;&gt;人間宇宙論（AC）&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;ビッグバンを発端として過去から未来へと流れる時間軸の因果で宇宙が生まれたのではなく、＜基石＞と呼ばれる人間によって&amp;quot;宇宙が説明される&amp;quot;ことでビッグバンまでさかのぼり、宇宙が生じるというトンデモ理論。&#xA;宇宙の住人が説明することでその宇宙が存在するという超やばいトートロジー。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;モサラの理論&#34;&gt;モサラの理論&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;ニュートンの逆二乗則の発見のように、データ化した現実の事象を手がかりに理論を組み立てることは純粋数学に帰着される。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;現実世界の事象を網羅・詳細にデータ化し、結果を完全に予測する理論の構築&#xA;＝ 世界を完全に記述する究極の理論となり、物理的実体と情報の境界がなくなる（物理学と情報理論の混合化）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;イメージとしては、机上の理論に現実のデータを大量に教え込ませて（組み込んで）情報として現実世界を完全再現する感じか。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;人間宇宙論によりモサラの論文が宇宙の設計図になり、それを理解し説明した人間が基石となる。&#xA;初期の長編はどれも「生命体による観測で生じる世界」に重きを置いてるのは時代を感じる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;万物理論も言ってしまえば純粋数学から宇宙が生まれるという思想なので、やっぱりイーガンは数学畑の人間だなあ、と思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;ディストレスの正体&#34;&gt;ディストレスの正体&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;ただ一人の＜基石＞が他者を説明しようとしたときに生じる、究極の孤独による唯我論的狂気。&#xA;混合化の予兆で人々にディストレスが起こっていた。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;眼の前にいる他者にして論理的には遠い親戚に違いない人物を、その宇宙論の統一された体系に編みこもうとしているかのように（p477）&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;混合化が他者の精神の説明を必要とするディストレス患者の伏線。&#xA;みんなが基石になることでこの狂気を回避。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;人間宇宙論者の派閥&#34;&gt;人間宇宙論者の派閥&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;主流派・・・基石の最有力候補であるモサラを守り、混合化を見守る&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;穏健派・・・モサラのTOEはアレフ後に物理学の基盤を崩し、未来が存在しなくなるとしてモサラの妨害・抹殺を目論む（穏健&amp;hellip;？）。&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;過激派・・・いかなるTOEの存在も認めない。宇宙の無限の可能性のため、基石になりうる人間は全員抹殺しようとしている（こわい）&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;h2 id=&#34;余談&#34;&gt;余談&lt;/h2&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;タイトル&#34;&gt;タイトル&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;『万物理論』というタイトルでけっこう損してると思う（原題は&amp;quot;Distress&amp;quot;）。このタイトルからは難解な物理学メインの話だと思って敬遠してしまうのでは。たしかに理系うんちくは多い。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;しかし実際のところはバリバリの社会派SFで、無政府主義な人工島を舞台にした未来社会の政治・宗教・ジェンダーを描くことに焦点を当てている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;TOE（万物理論）そのものはストーリー全体を通して言及されるものではあるが、現実の物理学での文脈で使われる統一理論（自然界の4つの力の統一）とは別物だし、疑似科学をもとにしたカルト宗教を描くための道具としての側面が強い気がする。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;途中から万物理論が人間宇宙論にすり替わるけど、『人間宇宙論』ってタイトルだとネタバレが過ぎるか。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;根幹としては「他者理解」や「ひとくくりにされることへの抵抗（多様性）」の話をしているので、いうほど『万物理論』か？という気がしている。&#xA;大きなHワードの「人間性（Humanity）」とか？&#xA;いろいろありすぎて難しいね。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;所感&#34;&gt;所感&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;小説としてのメインストーリー・ギミックはそこまでだが、サブ要素がとにかく好きな小説。&#xA;サイバーパンクなガジェット群や、人工島＜ステートレス＞の雰囲気も最高。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;自発的自閉症協会のロークや、医者マイクルの「信仰は足が悪くないのに松葉杖にすがって生きてるようなもの」とか、政治思想つよめな島の住人マンローとか、思想が強いキャラクターとの印象的な会話シーンが多い。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;SFというジャンルには科学技術に焦点を当てた作品こそ多いが、政治や社会、宗教にもここまでの焦点を当てた作品はあまりないのでは。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;メインの他者理解でいうと、まあ確かに人間って根本的に理解不能だよな〜と思う派。でも、みんな自閉症になってめでたしめでたしってオチはちょっと受け入れがたいものがある&amp;hellip;&#xA;真実がそうだったからって、別に幻想（ゆめ）はみてもよくないか&amp;hellip;？&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;汎性アキリの力強い生き様と懐の深さに萌える。作中で一番好きなキャラ。&#xA;逆に主人公のアンドルーはへっぽこすぎる。ジャーナリズムに対して真摯なのが唯一の救いか。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;無知カルト、昔は科学が進歩すれば社会全体の知力が上がってカルト宗教なんて無くなると思っていたが、現実の陰謀論とかをみるに未来も無くなることはないのだろうな。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;小ネタ&#34;&gt;小ネタ&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;もっと新奇で空想的な発想ーー宇宙はセル・オートマトンだとか、実態のない純粋数学の偶然の副産物だとか、それはランダムな数字の雲なのだが、そのあり得る状態の一つがたまたま意識を持つ観察者を含んでいたという事実のおかげで形を持つようになっただけだとか（p259）&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;順列都市のセルフパロディ？&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『あなたの人生の物語』読書会</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/storiesofyourlife/</link>
      <pubDate>Wed, 09 Oct 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/storiesofyourlife/</guid>
      <description>&lt;p&gt;10月5日にテッド・チャン『あなたの人生の物語』読書会を行った。参加者は8人。無事行えたことに感謝。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;あなたの人生の物語&#34;&gt;「あなたの人生の物語」&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;まず20分程度、&lt;a href=&#34;https://docs.google.com/presentation/d/1EDBJ7vcA2q1Ny-T7WhnpqELibUtky0SkFXqL_CqrFtI/edit?usp=sharing&#34;&gt;自分が作ったスライド&lt;/a&gt;を見せながら、テッド・チャンや作品についての解説を行った。&#xA;反省点としては、物理ネタをわかりやすく解説するはずが、わけのわからない数式を持ち出して、わけのわからない説明しかできなかったこと。一般の人に対して解析力学の解説はそもそも無理な話で、作中で最も理解しやすいフェルマーの原理で説明してたテッドチャンの慧眼に感心した。&#xA;物理がよくわからなくても感動できる物語を書けるのがテッドチャンのすごさなんだよな、と再確認。元ネタの科学描写をちゃんと理解できなくてもSFは楽しめるってことは他のSF作品全般に言えることだ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;スライド発表のあとは一人ずつ感想を言ってもらった。印象に残った感想をピックアップすると&lt;/p&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;テッド・チャンはゴールを決めて書く人と解説に書いてあって展開の持っていきかたにそれを感じた&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;SFを初めて読んだが、時系列が飛び飛びだったり、ペプタポッドBや物理学も難解で理解が難しかった&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;変分原理を知らなかった、現実にそんなものがあるとはびっくり&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;ヘプタポッドの造形が面白い。目が７つもあるのは知覚に特化している？瞼がないのは睡眠を必要としていない？人間の上位存在っぽい。放射状の体形から前後の概念がないのも面白い&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;現在進行形の物語は無機質なのに対して&amp;quot;あなた&amp;quot;との回想は色彩豊かに描かれている。ヘプタポッドBを理解するにつれてこの傾向は情緒的にも顕著になっていた。&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;やはり最後のルイーズの決断は泣ける。最初と最後のシーンがつながっているのも効果的&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;p&gt;などなど。現在と回想の情緒的な対比については全く気付かなかったのでなるほど～となった。こういう気づきがあるから読書会は面白い。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;その他の短編について&#34;&gt;その他の短編について&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;今回は表題作のみを課題作にしていたが、ほとんどの参加者が一冊全部読んでいたので（ありがたい）、表題作以外の話にもなった。&#xA;特に話が盛り上がったのは「バビロンの塔」「顔の美醜について」。&#xA;バビロンの塔は&lt;/p&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;箱庭的世界観で宗教をSFチックに描写するとこうなるんだ！と感激した&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;信仰はあるけれど、この世界に神はいない？そこが面白い&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;天井に穴をあけることで神の怒りを買わないか躊躇しているのが面白い。仕事で上司にお伺いを立てるみたいなものか&amp;hellip;&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;p&gt;など。たしかに寓話的世界観にワクワクする話だったなあ、と。オチもきれいで完成度高い。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;「顔の美醜について」についてはカリーを付けたいか、付けたくないかで投票を行い、激論を交わした。&#xA;もしかするとこれが一番盛り上がったかも？いろんな意見があって面白かった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;収録作品すべて質が高く、それぞれ語れることがあって改めてテッド・チャンすごいなと。&#xA;『息吹』もいつかやれたらいいなと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;次回について&#34;&gt;次回について&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;次の課題作はサリンジャー『ナイン・ストーリーズ』（野崎訳）で開催予定。&#xA;個人的に海外文学はほとんど読んだことがないので新鮮だ。扱うジャンルを限定していないので、今後も課題作に何が選ばれるのか予想できなくて楽しみ。&#xA;映画の上映会も盛り上がれるので不定期でやれたらいいなあ。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>「顔の美醜について」感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/kaonobisyu/</link>
      <pubDate>Tue, 08 Oct 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/kaonobisyu/</guid>
      <description>&lt;p&gt;テッド・チャン『あなたの人生の物語』収録の短編。&#xA;ルッキズムによる格差是正のため、「カリー」という人間の顔の&amp;quot;美しさ&amp;quot;を感じる脳の部分だけを無効化する（顔の識別は可能）装置が開発された社会の話。インタビュー形式のドキュメンタリーになっている。&#xA;物語の終盤で、化粧品会社のカリー導入反対の演説映像を、見た人に最も影響を与えるように最適化することでカリー導入を免れる、という展開になる。広告業界こわい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;『あなたの人生の物語』読書会で「顔の美醜について」の話題になり、カリーを付けたいかどうかで白熱した議論になった。&#xA;自分としてはカリーを付けたいと思う派なのだが、投票したところ少数派だった。&#xA;付けたくない派の意見は&lt;/p&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;美しさも才能の一つであり、その否定になってしまう&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;顔を隠すに等しく、それはイスラム圏のような保守的な社会と何ら変わらない&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;顔以外にも声などで優劣は存在するので格差是正の本質的解決にならない&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;全員がつけなければ意味がないという前提の実現の難しさ&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;p&gt;などなど。それぞれ理にかなっていてなるほどと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;いろいろ話を聞いていて思ったのは、「個人」と「社会」で切り分けが必要ということ。「自分が他人を見た目で判断したくないのか」、それとも「他人から自分が見た目で判断されたくないのか」&#xA;カリーを付けたいのは自分だけなのか、それとも社会全体に強制したいのか。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;まあ、この作品の本来の文脈でいえば社会を対象にしているのだけど。ルッキズムによる格差を是正するために強制的に導入する話なので。そこをはっきりさせずに「つけたいか」「つけたくないか」で投票したのは自分の落ち度だったなと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;それはさておき、他人から見た目で判断されるのが嫌で、社会にそれを強制しようとするとそれは大変だと思うし、それこそ顔以外にも優劣は存在するので意味がないと感じる。&#xA;結局のところ、格差の是正のためには強制的なテクノロジーの導入ではなく、道徳や社会規範を浸透させるしかないのではなかろうか。それがチャンがこの短編で伝えたかったことのように思う。&#xA;余談だが、テッドチャンはこの短編以外でもテクノロジーの導入に警鐘を鳴らす作品が結構ある。「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」とか。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;で、ぼくの場合は完全に個人の問題でカリーを付けたい。周囲がつけるかはどうでもいい。&#xA;顔で判断されるのはどうぞご自由に。でも自分は他人のことを見た目で判断したくないし、他人と関わる上で見た目の良し悪しは関係ないと感じるので、顔の美醜はノイズに過ぎない。&#xA;アイドルを応援するみたいな趣味もないから、顔の美醜がわからなくなるデメリットがほとんどないのも要因かも。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;カリーを付けたい最大の理由は、日常生活で不意に自分の心を動かされたくないから、という自己防衛的な理由に尽きる。&#xA;都会の町を歩いていると、ふと目に入った広告などでドキッとすることがたまにある。それがいかにも感情操作されている感じがして苦手だ。&#xA;XをやめてBlueskyに来たのも、自分の求めていない刺激的な情報で心を乱されるのが嫌だったから。&#xA;いつも心は穏やかでありたい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ところで、最近の子供は幼い時からinstagramやtiktokに触れているけれど、刺激が強すぎて精神面の生育によろしくないと思う。大人ですら刺激が強すぎると感じるのだから子供への影響の大きさは計り知れない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;心を乱されたくないという文脈ではもはや、顔がどうこうというより広告その他諸々の人為的な刺激を消す装置が欲しい。目の前を極限まで無味乾燥な情景に近づけるみたいな。そういう観境を好きな時に作り出せる装置があったらなー。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;それじゃ本物の世界を見ていないのでは？という意見があるだろうけど、どうせこの先そういう未来になっていくと確信している。VR・ARなんてもろにそうだし。そもそも、みんなが現実を同じ”本物の世界”として認識しているといえるのだろうか？&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;それぞれが見たいように世界を見ればいいじゃんね。もちろん、それで人に迷惑がかかるのはごめんだけど。&#xA;なんか完全に柴田勝家「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」みたいな話になってるな…&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ということで、個人がカリーをつけるという話はVR世界を現実に持ち込むことにかなり近いと思う。みんなそれぞれがなりたい姿になり、見たいものを見る。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;そのうち見た目も声も性別も合成・秘匿されて、相手が人間かAIかもわからないままコミュニケーションをとる時代が来るだろうなと思っている、というかもう来てる。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『ストーカー』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/stalker/</link>
      <pubDate>Thu, 26 Sep 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/stalker/</guid>
      <description>&lt;p&gt;ストルガツキー兄弟の『ストーカー』を読んだ。&#xA;とにかく雰囲気が最高。&#xA;SCPみたいな謎にかっこいい名前の付いた遺物たち、それを命がけで&lt;strong&gt;ゾーン&lt;/strong&gt;から取ってきてお金を稼ぐストーカーたち。&#xA;退廃的で泥臭い西部劇みたいだった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;やはり&lt;strong&gt;来訪&lt;/strong&gt;がただのピクニックであることが示唆される会話シーンが現実の崩壊・絶望感があって最高だったし、タイトルは『ストーカー』より原題の『路傍のピクニック』のほうが断然良いと思う。&#xA;超知性体 - 人間と人間 - 虫の絶対値で知性の差を表現しているのが本当にわかりやすいぴったりな表現。絶望的な衝撃をくらった。ぐへー。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ファーストコンタクトものは人間と対話できるものが割合多いと思うが、（そのほうが話を進めやすい）レムの『ソラリス』やワッツの『ブラインドサイト』のようにそもそも対話すら難しいファーストコンタクトのほうが最近は好み。なので今作はドストライクだった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;今作は上記の2作と違って&lt;strong&gt;来訪者&lt;/strong&gt;についてわかることはほとんど何もなく、考察も本当にちょっとしたものなのが大きな違いか。&#xA;SFというよりは、災厄に巻き込まれた人間がどうしようもなくもがく様を描きたかったのかなあと推測する。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;最終章でレッドが＜黄金の玉＞とかいうドラゴンボール的なものを取りに行くところは今までのレッドの葛藤を描いていて良かった。&#xA;やっぱり願い事は娘を人間を戻すことだったんだろうか。今までの俺の人生はいったい&amp;hellip;ってなってるところは刺さるものがあった。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『コード・ブッダ』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/codebuddha/</link>
      <pubDate>Tue, 24 Sep 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/codebuddha/</guid>
      <description>&lt;p&gt;ホウ・然&lt;/p&gt;&#xA;&lt;div class=&#34;highlight&#34;&gt;&lt;pre tabindex=&#34;0&#34; class=&#34;chroma&#34;&gt;&lt;code class=&#34;language-c&#34; data-lang=&#34;c&#34;&gt;&lt;span class=&#34;line&#34;&gt;&lt;span class=&#34;cl&#34;&gt;&lt;span class=&#34;k&#34;&gt;while&lt;/span&gt;&lt;span class=&#34;p&#34;&gt;(&lt;/span&gt;&lt;span class=&#34;mi&#34;&gt;1&lt;/span&gt;&lt;span class=&#34;p&#34;&gt;)&lt;/span&gt; &lt;span class=&#34;p&#34;&gt;{&lt;/span&gt;&#xA;&lt;/span&gt;&lt;/span&gt;&lt;span class=&#34;line&#34;&gt;&lt;span class=&#34;cl&#34;&gt;  &lt;span class=&#34;nf&#34;&gt;printf&lt;/span&gt;&lt;span class=&#34;p&#34;&gt;(&lt;/span&gt;&lt;span class=&#34;s&#34;&gt;&amp;#34;ナム・アミダブツ&amp;#34;&lt;/span&gt;&lt;span class=&#34;p&#34;&gt;);&lt;/span&gt;&#xA;&lt;/span&gt;&lt;/span&gt;&lt;span class=&#34;line&#34;&gt;&lt;span class=&#34;cl&#34;&gt;&lt;span class=&#34;p&#34;&gt;}&lt;/span&gt;&#xA;&lt;/span&gt;&lt;/span&gt;&lt;/code&gt;&lt;/pre&gt;&lt;/div&gt;&lt;p&gt;シン・鸞&#xA;「whileは無用」&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;プログラミング×仏教パロディSF。&#xA;主にプログラミングのジョークが随所にちりばめられていてゲラゲラ笑った。&#xA;とはいえ、ツイッターにこういうネタを投稿してるITエンジニア大量にいるよなーと思ったのも事実。&#xA;柞刈湯葉もこういうツイッターネタみたいな話よく書くよね。理系教養ジョークというか。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;信仰がテーマなのはムーンシャインに収録されてた『遍歴』もそうだったけど、最近はこういう路線なんだ&amp;hellip;って感じた。&#xA;ムーンシャインは『ローラのオリジナル』もだけど最近はいろいろ模索してるんだなーと。迷走？といってもいいのかも。そこも含めて楽しみではある。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;物理やプログラミングの概念を小説に落とし込んでジョークにするのは昔から変わってないけど、パロディしながらその概念を説明するだけに終始していて、そこからの発展が足りない気がした。&#xA;今回で言うとマクスウェルの悪魔とかベルの不等式とか。元ネタはわかるし面白いんだけど、全体とのつながりがよくわからなくて、だから？と思ってしまった。&#xA;自分の読解力が足りてないだけという説もある。&#xA;（追記：わたしと教授は量子もつれ状態にあったのでは？とかいろいろ考察できそうな気がしてきたので、量子測定と情報統計力学を勉強してから読み直してちゃんと考察するかも）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;あと、長編でずっとパロディネタやられるとちょっと疲れる。もともとは連載作品なので一気に読むものではなかったかもしれない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;まあでも、今回はかなりエンタメに寄っていて読みやすかったし、たくさん笑わせてもらった。&#xA;『コード・ブッダ』そのものが経典でしたーってオチもよかった。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『堅実性』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/solidity/</link>
      <pubDate>Tue, 13 Aug 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/solidity/</guid>
      <description>&lt;p&gt;SFマガジン2023年12月号収録のグレッグ・イーガン「堅実性」を読んだ。&#xA;最近星雲賞をとったらしい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;周囲のものや人間が、目を離すと平行世界と入れ替わり続けるという、量子力学の観測問題がマクロレベルで効いてしまったような世界観。完全にランダムに入れ替わるのではなく、ある程度似たもの・人に入れ替わる。&#xA;「このグダグダはいったいなんなんだ？」&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;堅実性声明&#34;&gt;堅実性声明&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;（略）僕たちは自分たちにできる限りのことをして、社会の堅実性を維持しよう。もしできるなら、この言葉を広めるんだ。もしできるなら、きみが手本になるんだ。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;＜堅実性声明＞の善性が高すぎてうるっときたのは僕だけじゃないはず。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;大きな厄災で人々が引き裂かれても、人間は手を取り合って協力することができるという希望と祈り。イーガンは本当に人間が大好きなんだなあ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;実験&#34;&gt;実験&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;小石を置いたり石版に文字を刻みつけることはどの平行世界にも共通で反映されるという事実が判明するが、そこからの実験がSFならではでめちゃめちゃ面白い！&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;てか対照実験で条件切り分けられるオマール賢すぎるだろ&amp;hellip;(イーガンあるある)&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;背中向かいの二人組をカメラで撮影して入れ替わる条件を探る実験で、オマール自身が入れ替わっていたのは一瞬混乱した。こういうところに芸の深さを感じる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;石版実験から実はラフィークが入れ替わり続けていたことが判明するシーンは震えた。今まで確かだと思っていた事実が崩壊する瞬間。小説がうますぎる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;結末&#34;&gt;結末&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;最終的に、肩にカメラを装着した多数の人間の画像を記録することで世界の連続性を維持しようとするわけだけど、それは今いる世界の人々を繋ぎ止められると同時に、離れ離れになってしまった家族とはもう永遠に会えないことを意味する。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;ぼくにわかっているのは、父を取り戻せないということです、何をぼくが望んでも、何をぼくが書いても、何をぼくがしても。そういうものだと納得することにしたんです。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;ラストから、ラフィークは自分の息子に会えないことに耐えきれずにオマールのもとを去ってしまったらしい。それでもオマールは諦めずに社会の堅実性を維持する最善の道を模索する。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;それが、オマールがあの人々のためにできるただひとつのことであり、それだけで十分とするべきなのだ。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;オマールの選択はせつなくも希望の火が灯っている。&#xA;尊い&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;表紙イラスト&#34;&gt;表紙イラスト&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;読んだあと表紙イラストを見返すと面白い。&#xA;合わせ鏡に写ったラフィークの後ろには人影があるが、オマールにはない。&#xA;これは、平行世界で別の存在がいるラフィークに対して、オマールは平行世界でも同一性を保てる安定性があるという表現なのかー。&#xA;そして、アンカーとしてオマールが人々を繋ぎとめ、その塊を大きくしていくことがタイトルの『堅実性』につながっている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;h3 id=&#34;まとめ&#34;&gt;まとめ&lt;/h3&gt;&#xA;&lt;p&gt;イーガンの人間愛が伝わってきてすごくよかった。&#xA;実験もSFらしさが存分に発揮されていたし、そこから導かれる残酷な真実も鮮烈。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;難しい理系用語も出てこないからSFファンじゃなくても楽しめる作品だと思う。&#xA;一刻も早くこれを収録した短編集を世に出して人々をイーガン沼に沈めるべき。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『ムーンシャイン』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/moonshine/</link>
      <pubDate>Mon, 05 Aug 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/moonshine/</guid>
      <description>&lt;p&gt;円城塔の中ではかなり直球でわかりやすい部類の短編だと思った。&#xA;群の定義から始まり、理系が思わずクスッとなる数学ネタを楽しんでいたが、まさかオチで生命現象につながるとは。ラストは強烈なカタルシスがあった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;序盤の数による記憶術や数に色や現実の関係性を見出す共感覚の話は、数学と現実を紐付けることにより数学的存在と現実は相互作用・行き来できるもの、という導入だろう。&#xA;ちなみに、作中で言及される古代ギリシャ人は実在していて、逸話もちゃんとそのとおりらしい。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;そんなこんなで多重共感覚により瞬間的に因数分解できてしまう数学的存在（モンスター群）である少女の話につながっていくわけなのだが、主人公たちは幸運にも少女という&amp;quot;関数&amp;quot;から&amp;quot;17&amp;quot;というインターフェースを取り出すことに成功する。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;図形は色であり、色は音であり、匂いは触覚であり文字である。それらここの性質が、無理矢理乗り継ぎながら立ち位置を入れ替えすべての感覚が互いを融通しながら混淆する。彼女は視覚情報から得た紋様を「17」として認識し、17はこうして応答機械としての職務を見事に果たしている。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;この17という存在に説得力を持たせるために序盤の共感覚、数と現実の風景や関係性を結び付けられるという共感覚の逸話があったわけだ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;17は、もしかして彼女の保有している化け物じみた演算能力を保持していない、何故なら17はただの計算機に過ぎず、ただの計算機は、巨大な数の因数分解を片手間で完遂することはできないからだ。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;計算機をいくら積み重ねてみても、ただの計算機でしかないことは言うまでもない。無限この整数と無限この整数を足すことでは、無限を超えることは叶わない。その無限足すその無限は、やっぱりその無限のままにとどまるから。&#xA;ただし私は、計算機ではありえない。&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;17をはじめ、一つ一つの要素である素数は計算機であるが、計算機以上の能力はない。しかしその素数（計算機）が集まってできた少女（モンスター群）は驚異的な演算能力をもつ。&#xA;これはいわゆる「創発現象」（自律的な要素が集積し組織化することにより、個々のふるまいを凌駕する高度で複雑な秩序やシステムが生じる現象あるいは状態）のこと。&#xA;そしてこれこそが、自らが生命であることの証明にほかならない、と少女は確信する。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;「数で行うことのできるものは、計算機にも実装できる。私が計算機にはできないことを実行していると感じる以上、そこには蠢く何者かがあり、まだ何かが残されている。それとも取り残されているのが、この私だ。」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;一つ一つの構成要素（素数）は明確なのに、結果として生まれる少女という生命現象は説明できない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;最終的に少女は自らを&amp;quot;数ではないもの&amp;quot;で再構成し、数のない世界に飛び込む選択をするわけだけど、これは「生命現象を記述するには数学という道具では限界がある」という問題提起を含んでいるように思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;つまりこの物語は、還元主義的な思想では生命現象は理解できませんよ、という還元主義へのアンチテーゼなのではないか。&#xA;そう考えるとものすごく統計物理屋らしさが出た作品だなと思う。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
    <item>
      <title>『ブラインドサイト』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/blindsight/</link>
      <pubDate>Mon, 05 Aug 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/blindsight/</guid>
      <description>&lt;p&gt;小説としてはそんなにだったけど、高度な知性体にとって意識が必然か？むしろ意識は邪魔なのではないか？という思考実験としては面白かった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;解説でテッド・チャンが&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;あの作品で述べられていることにはほとんどあらゆる点で同意できないが、それでも一読をお勧めする。あれは同意できないことを確認する価値のある作品だ&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;と言っていたのは笑った（まあ、そうだろうな&amp;hellip;）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ただ、解説での反論はあまり的を射てるとは感じなかった。意識と無意識の解明が進んでない以上、局所最適で意識を捨て去ることができてない可能性は十分ありえるし、この広大な宇宙で意識をもたない高度な知性体が存在していても不思議ではない。ワッツは一つの可能性を提示しているだけで、意識を持っている人間を否定しているわけではないのは言うまでもない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;自分としては、物理法則に従っているのならなんでもOKだと思うし、それこそがSFの醍醐味だと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;自由意志と意識の否定。このへんワッツは冷徹すぎるので拒否反応が出る人がいるのもわからなくもない。逆にイーガンは楽観的で人間讃歌な話が多い。自分はどちらも好きだ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ところで、本作は地球人側のメンバーもかなり濃いものになっている。脳を半分摘出した主人公、4重人格の言語学者、吸血鬼などなど。解説で吸血鬼が十字架が苦手な理由をちゃんと科学的に？こじつけてるのは笑った。設定がよく凝られていてよほどお気に入りなんだろうな。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
  </channel>
</rss>
