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    <title>ミステリ on 本の感想とか</title>
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    <description>Recent content in ミステリ on 本の感想とか</description>
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      <title>ブレイクショットの軌跡</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/breakshot/</link>
      <pubDate>Sat, 19 Jul 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
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      <description>&lt;p&gt;読みやすかったけどしんどい話が続いてつらかった。&#xA;人生ってままならないよね&amp;hellip;にしてもその展開は過酷すぎない？？？って感じで、感情移入はあまりできなかった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;カズさんが1番の推しキャラだったけど早々に退場しちゃってかなしい。&#xA;人生をどこからやり直したいか問われて「思い返したらそんなところはない、俺は最初から悪だった！」と開き直って覚醒するところは最高にぶち上がったんだけどなー。&#xA;全体通して、善良であることの高貴さを説いている小説なので仕方ないか&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;最後は綺麗にまとめられていた。群像劇が一つの線に繋がって収束するのは構成が上手すぎる。&#xA;あらためてプロローグを読み返すとめちゃめちゃ伏線張られまくってて感心。&#xA;いろんなミスリードのギミックを思うとこの作品はミステリだったなーと思う。社会派エンタメミステリ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ビッグモーターとかXとか時事ネタをぶっ込みまくってて、2020年付近の時代を切り取った感が強い。面白かったけどこういうのは5年後10年後に読むと面白さが半減しそう。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;特にLGBTQの主張が強くて芥川賞作品か？と思った。直木賞はエンタメに振り切ってて社会的な主張はあんまりない印象だったので&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;個人的には現実社会との距離が近すぎる小説はちょっと苦手なのでうーん。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;それにしてもすげードラマ化しそうな話だなと思った。読み味としては池井戸潤の社会派小説がけっこう近い。水戸黄門感（明らかに悪いやつが出てきて苦しめられるけど最終的には退治されてみんなハッピーになるやつ）はあんまないけど。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ぼくも高校生のときは池井戸潤の小説にハマってたっけ。なんか社会を知った気になれて良かったんだよなー。ちょっと背伸びしたいお年頃にジャストヒットした記憶。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;例えばインサイダー取引のくだり。作中の登場人物がものすごく丁寧に説明してくれていて勉強になる。600ページ弱と分量が多いけど、そういうわかってる人は読み飛ばせる描写が多いのが読みやすい理由の一つだと思った。冗長性の高さはリーダビリティにつながる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;中高生たちはこれを読んで社会を勉強してほしい。（そうか？？？）&lt;/p&gt;</description>
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      <title>『女王の百年密室』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/100nen/</link>
      <pubDate>Sun, 08 Jun 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/100nen/</guid>
      <description>&lt;p&gt;読書会の課題作で、10代の頃に読んで以来の再読。&#xA;Wシリーズを読んでからの100年シリーズ再読はそうか、こういうことだったのか〜という感慨があってとても良かった。Wの記憶も薄くなってきたので再読しなければ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;百年密室、密室部分は本当に酷いけど、社会実験的な近未来SF、幻想的な雰囲気、ミチルとロイディのアクロバティックな真相に良さがあると思うので、けっこう面白い作品だと思う。&#xA;今思うと密室部分も本格ミステリから外れようという初期の試みの結果なんだろうな、ということを感じられて味わい深い。これでこそ森ミステリィ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;続編の迷宮百年の睡魔のほうが断然面白いけど。森博嗣も自信作と言っていたし。&#xA;あの首切断のホワイダニットはぶっ飛んでいて唯一無二すぎる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;シリーズものの一作目は設計図的な作品になるので手応えがあるのはどうしても２作目以降になる、という話をエッセィでしていてなるほどなあと思った記憶がある。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;視覚的に幻想に見せかけて全部SFとして説明できるようになっているのは百年シリーズに通底するギミックなんだろうなあ。赤目姫ってやっぱりそういうことなのか&amp;hellip;など森博嗣の先を見通して創作する力にあらためて脱帽した。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;読書会ではみんなミステリとしては読んでいないと言っていて、自分としてはそれが軽く衝撃だった。ミステリ作家でタイトルに密室ってあるから普通そこに注目すると思うんだけど&amp;hellip;結果的に石を投げられずに済んだのでヨシ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;四季関連シリーズを追っている人の中で森博嗣の小説をミステリとして読んでいる人はけっこう少数派な気がする。&#xA;自分自身、森博嗣の思想がおもしろくて読んでるのは当然あるけれど、特にGシリーズのミステリからの逸脱具合は狂おしいほど好きなんだよな&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;会では否定的な意見として、&lt;/p&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;ミチルが相棒のロイディに対して横柄な態度をとっていることや、ルナティックシティの文化を重んじずに自分の価値観を押し付けるところが嫌い&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;森博嗣の文体が合わない&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;p&gt;というのがあった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;自分はミステリ作品の登場人物に感情移入するということがほとんどないので新鮮な視点だった。&#xA;推理小説の探偵って大抵、他人の気持ちを考えないろくでもない人間のことが多いのでそれに慣れているというのもある。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;森博嗣の文体は良くも悪くも特徴のない簡潔で読みやすい文章だと思っていた（ポエムは癖があるが）けど、小説の文体としてどうなんだと言われると確かに微妙かもしれない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;森博嗣が苦手という意見はいままで聞いたことがなかったので貴重でありがたい。とともに誰しも苦手な作品ってあるよなあとなんか安心した。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;読書会で布教用の資料を作ったので公開しておく。&#xA;&lt;a href=&#34;https://docs.google.com/presentation/d/e/2PACX-1vRNtnZG8GlGLGUAoIcakEzwKMPOdYmHMx8HKPyzKP00WW_Vnv11SyD-Vk6n2eP0v-n9GnHhUrI3dUUv/pub?start=false&amp;amp;loop=false&amp;amp;delayms=3000&#34;&gt;森博嗣布教&lt;/a&gt;&lt;/p&gt;</description>
    </item>
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      <title>『お前の彼女は二階で茹で死に』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/yudezini/</link>
      <pubDate>Thu, 22 May 2025 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/yudezini/</guid>
      <description>&lt;p&gt;とにかく趣味が悪すぎるとしか言いようがない。本当に人を選ぶ小説。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;白井作品を全作読んでいる訳ではないが、この”茹で死に”はトップクラスで白井智之特有の趣味の悪さが出ている。&#xA;世界はゲロやクソや体液にまみれ、主人公の倫理観は終わりきっている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;いったい誰が好き好んで「股間から油が出る奇病にかかった青年を監禁し、その油を利用した料理を提供する中華料理屋で起こる殺人事件」が読みたいんだよ。しかも隣村では「肛門に金属製の球を入れると宇宙と交信できる」という教義のカルト宗教が蔓延しているとかいう&amp;hellip;もうおしまいだ&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;一方で、特殊設定における多重解決ミステリの完成度においては本当にレベルが高く、推理に無駄なものはない。&#xA;先述の意味不明で悪趣味な要素までもパズルのピースとして完璧に機能している。素晴らしい&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;それにしてもレイプ魔が犯した相手が誰だったかによって真相が決まる推理小説って、なんでそんなことが思いついてしまうんだよ&amp;hellip;（ドン引き）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;白井ミステリ、高品質な本格推理を楽しむためには悪趣味な汚いグロ描写や胸糞悪い話を読まなければならない、という謎な状況が面白い。爆笑しながらも、なぜおれはこんなものを読まされているんだ&amp;hellip;と不思議な気分にさせられる。この感覚は唯一無二。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;それ故に人には全く勧められないのだけど&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;本作はオチがひたすらに虚無で、そこも好きなポイント。&#xA;本格ミステリーはつまるところただのパズルであって、それを利用して何らかのメッセージを持たせる必要はないというエンタメ的な振り切りを感じる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;「本格ミステリは人間が描けていない」は昔から言われている批判だけど、そこがむしろ本格ミステリの良さなんだよな、と個人的には思っている。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;倫理観や人間性を排除した、常識にとらわれない発想で解かれるパズル。その性質こそが本格ミステリの真骨頂だと思う。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;そして、その理想に最も近い作家が白井智之なのだと。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
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      <title>乾くるみ『スリープ』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/sleep/</link>
      <pubDate>Sun, 01 Dec 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/sleep/</guid>
      <description>&lt;p&gt;読書会課題作。乾くるみはJの神話を読んで以来なので2作目になる。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;大学で推理小説研究会に入ったとき、先輩から「メフィストのJFKを読め！」と言われて読んだのが懐かしい。&#xA;&amp;ldquo;メフィストのJFK&amp;quot;とは歴代メフィスト賞受賞作品の『Jの神話』『すべてがFになる』『Kの流儀』のことで、無理やり勧められるだけあってどれも衝撃的な作品（Kの流儀に至ってはミステリでなく極真空手の学園小説）だったし、メフィスト賞作家にハマる明確なきっかけになった。とはいえ、どぎつすぎるので自分は人には決して勧められないけど。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;で、『スリープ』なのだが、乾くるみがどういう作風なのか知っていたのもあってネタにはわりと早い段階で気づいてしまった。だからといって面白さが半減したとかそういうことは全然なく、伏線の貼り方は丁寧で見事だったし20年前に書かれた2036年の未来予想は面白かった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;とはいえ全体的な作品の印象は「トリックに凝ったB級小説」だ。物語に現実感がないし明らかに無駄な文章が多い。アリサがカルト宗教にハマるきっかけとか「そうはならんやろ！」って心の中で突っ込んだし、＜科学のちから＞メンバーのアメリカでの呼び名（鷲尾まりん＝マリリン・ワッシャー、羽鳥ありさ＝アリシア・ハドリー、戸松鋭二＝エイジ・トーマス）もぜったいウキウキで書いたとしか思えない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;一番印象に残った（笑った）文章は&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;「アメリカにね、ネーションズ・トーラっていう団体があってね」と唐突に語りだす。要美は一瞬どきりとした。中学時代のあだ名が「ねーしょん」だったのである&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;要美（いるみ）だからイルミネーションで「ねーしょん」。話と全く関係ないしどうでもよすぎる。あと&amp;quot;ぬくい いるみ&amp;quot;は乾くるみのアナグラムになっている。だからなんなんだ笑。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;こういう「やりたいからやりました笑」みたいなのがすごく当時のノリなんだろうなと思った。昔はトリックさえちゃんとしてればあとは何でも良かったのかもしれない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;逆に最近のミステリは文章も洗練されている印象がある。そんなに読んでないからわからないけど、最近はトリックはあくまで味付けでナラティブを重視しているイメージ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;久しぶりに頭からっぽでサクっと読めるミステリの長編が読めて楽しかった。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
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      <title>パラノマサイト感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/paranomasight/</link>
      <pubDate>Mon, 30 Sep 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/paranomasight/</guid>
      <description>&lt;p&gt;この記事はネタバレ全開です&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;既プレイの友達に強く勧められて見守られながらプレイ。10時間くらいでクリア。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;序章の段階で「これ、実はこうこうこういうゲームでしょ！」って言ってたのが当たっていて、クリア後に「気づくの早すぎて動揺した」と言われた。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;まあでも案内人の誘導が親切すぎるんだよね。あそこまでプレイヤーの存在をちらつかされると気づくよ（序章クリア時の興家くん殺した人数クイズとか）。プレイヤーに語りかけてくる系のメタなゲームは今まで何作かやってきたってのもある。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;全体的に楽しめたんだけど、正直に言うと序章の異能力バトルをずっとやりたかった&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ストーリーが分岐してからは様々な過去を背負ったキャラクターの群像劇になり、目的も呪術バトルで勝ち残ることではなく、呪いの起源を突き止めて争いを終わらせることに変わってしまった。それはそれで良かったんだけど、もっとひりついた能力の探りあい＆殺しあいがしたかったよ&amp;hellip;&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;序章のvs並垣くんとかすごくよかった。あそこが間違いなくピーク。どう考えても並垣くんの「足洗い屋敷」が最強なんだよね。そのチート性能な呪術をプレイヤーによるメタな方法で回避するってのが最高。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;まあしかし、キャラがみんな立っていてよかった。マダムの幸薄そうな表情はずっと良かったし、マダムへの協力を仕事として割り切ってるプロタンもかっこよかった。ミヲと約子のパートが特に好き。ミヲちゃんのじと目かわいい。&#xA;がんばれ国家権力&amp;hellip;！&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;序章の「あれ？なんで呪力行使してないのに勝手に？？？」と気がかりだったのが、最後までプレイして興家くんがただただ激ヤバ呪術人間だったことに気づいたときは感心した。よく作り込まれてるなあ。&#xA;興家くん、ちょっと仲良くなった女の子を生き返らせるために誰彼構わず呪い殺しててこいつヤバすぎだろ&amp;hellip;とは最初から思ってたよ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;久々にノベルゲームをプレイして何千回もクリックして指が痛い。最後までぶっ通しでやるくらいに面白かった。&lt;/p&gt;</description>
    </item>
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      <title>『春にして君を離れ』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/absent_in_the_spring/</link>
      <pubDate>Mon, 26 Aug 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
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      <description>&lt;p&gt;アガサクリスティーの『春にして君を離れ』を読んだ。&#xA;自分の思う「正しさ」を他人に押し付ける性格の主婦、ジョーンが列車の長旅で自身の半生を回想するうちに過去に違和感を覚え始め&amp;hellip;という話なのだが、自分の母が主人公に近い性格なので結構ダメージがあった。&#xA;自分自身、もしくは家族に主人公みたいな性格の人がいると死ぬほど刺さる作品だと思う。&#xA;ミステリの手法を用いて「他者への干渉」という人生の普遍的なテーマを扱った名作。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;自分の場合、他人に干渉しなさ過ぎて（本作の場合、夫のロドニーにあたる）、それはそれでよくないなあと感じた。結局、ロドニーはジョーンのことを諦めるとともに自分の人生もあきらめているわけだし。&#xA;「来るもの拒まず、去る者追わず」のポリシーは、結局のところ他人に興味がないだけと言われると何も言い返せない。&#xA;他人を変えようとするのは”愛”ゆえなんだよね。歪んだ愛はめちゃめちゃ迷惑なわけだけど。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;で、クリスティさん、とにかく小説がうますぎる。こんなにうまく主婦の心理を描写できる作家はなかなかいないんじゃないかな。&#xA;主人公が最後にけろっと忘れて元に戻るのもリアルだ。人は簡単には変われない。かなしいね。&#xA;この作品を読むと、クリスティは推理小説というジャンルじゃなくても余裕で大成していたんじゃないかという気がしてならない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;いろいろ感想を漁っていると、「ミステリじゃないクリスティー作品」という言及をよく見かけたけど、自分の中では本作は完全にミステリだと思う。&#xA;というのも、「主人公が自分なりの真実を追求する物語」が自分のミステリの定義なので、殺人事件が起きず探偵が登場しなくてもミステリなのだ。&#xA;アンチミステリとかいろいろ読んで自分の感覚が歪んでるだけかもしれない。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;ミステリとしては、主人公の性格から「真相はこうなんじゃ&amp;hellip;」という予想がだんだん当たっていくのが逆にハラハラして気持ちよかった。&#xA;が、人によっては深刻なダメージを受けて「もうやめてくれ～」ってなるんじゃないだろうか。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;精神的ダメージがえぐいけど、なんか人に勧めたくなる作品。&lt;/p&gt;</description>
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      <title>『幻惑の死と使途』感想</title>
      <link>https://piyoyuki.net/posts/genwakunoshitoshito/</link>
      <pubDate>Thu, 15 Aug 2024 00:00:00 +0000</pubDate>
      <guid>https://piyoyuki.net/posts/genwakunoshitoshito/</guid>
      <description>&lt;p&gt;久しぶりに犀川先生成分を摂取したくて10年ぶりの再読。結果としては大満足だった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;犀川先生の哲学チックな思考だけでなく、やたらと事件に首を突っ込みたがる西之園萌絵や初登場の健気な加部谷恵美をみれて、微笑ましい気持ちになれた。&#xA;そんな時代もありましたね〜。いっぽう今では&amp;hellip;（XXシリーズ、この先どうなるんだろうね。）&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;S＆Mシリーズ、幼少期に両親を飛行機事故で失ったトラウマから自傷的に殺人事件に首を突っ込むようになってしまった西之園萌絵を、これまた「現実を捨てたい」という破滅的な思想をもった犀川先生がやれやれ言いながら心配して捜査に協力する話だったなあ&amp;hellip;ということをしみじみと思い出した。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;本作は萌絵の主役感が強く、（犀川先生に先を越されていたとはいえ）自力でたどり着いた推理を披露する。自身の感情の変化に気づくところも西之園萌絵の物語を語る上で重要な巻になっていた。&#xA;この辺がGシリーズでは消化・昇華されて「殺人事件なんて他人の日常にとっては小事」というスタンスになっていくのが感慨深いんよね。「ηなのに夢のよう」も再読しないとな。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;これがシリーズ6作目だったと思うが、もう犀川先生と萌絵は婚約してたんだね。やたらいちゃいちゃ会話が多かった。約束すっぽかされて怒ってる萌絵に「あそう&amp;hellip;」って返してる犀川先生に笑ってしまった。絶対現実だと許されないやつ。あと、「君に理解できるように話せないのは、僕の能力不足に起因している」も結構な煽りだと思ったけど、先生と生徒という尊敬の関係だから許されてる感じある。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;今まで再読してたのは「すべてがFになる」「笑わない数学者」などの初期作だったので、二人の関係性の変化に関するイメージが希薄だった。初読時はとにかく犀川先生の思考が好きで読んでた気がする。&#xA;腰を据えてシリーズごと再読するべきなんだろうなあ。たぶん読み方が全然違ってくると思う。&#xA;最近、再読したい小説が多すぎて困ってるのが正直なところ。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;一番印象に残ったセリフ&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;「そうじゃないんだ。何かに気がついて、新しい世界が見えたりするたびに、違うところも見えてくる。自分自身も見えてくるんだ。面白いと思ったり、なにかに感動したりするたびに、同じ分だけ、全然関係ない他のことにも気がつく。これは、どこかでバランスを取ろうとするのかもしれないね。たとえば合理的なことを一つ知ると、感情的なことが一つ理解できる。どうも、そういうふうに人間はできてるみたいだ」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;「物理の難しい法則を理解したとき、森の中を散歩したくなる。そうすると、もう、いつもの森と違うんだよ。それが、学問の本当の目的なんだ。人間だけに、それができる。」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;やっぱり犀川先生の言葉は染みますね&amp;hellip;&#xA;じっさい、全然関係ないと思っていた物事や経験がつながっていくのが人生面白いな、と思うし、新しい世界を見たいからSFを読んだり色々なことを学んでいる節がある。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;p&gt;肝心のミステリとしては、&#xA;&amp;ldquo;すべてのものには名前がある&amp;quot;という抽象的な話が事件に密接に絡んでたのは本当に見事だった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;「そう、人間はシンボルによって思考する」犀川は微笑んだ。「言葉や文字で思考するのではない。言葉も文字も、シンボルの一部でしかない」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;有里匠幻が、「有里匠幻」という&amp;quot;名前&amp;quot;のために、自らの矛盾を消去するために起こした殺人。&#xA;奇術師としての矜持と狂気を感じる、凄まじい物語だった。&lt;/p&gt;&#xA;&lt;blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;「どんな法律も人格をさばくことはできない。名前を裁くんだよ」&lt;/p&gt;&lt;/blockquote&gt;&#xA;&lt;p&gt;初読時は、オチが「笑わない数学者」の天王寺博士にかぶるところがあって微妙だと思っていた記憶がある。&#xA;でも今回再読してみて、&lt;/p&gt;&#xA;&lt;ul&gt;&#xA;&lt;li&gt;抽象的な会話と事件のシンクロ＆鮮やかなタイトル回収&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;奇術師というエンタメ度の高い派手な題材&lt;/li&gt;&#xA;&lt;li&gt;西之園萌絵の成長物語&lt;/li&gt;&#xA;&lt;/ul&gt;&#xA;&lt;p&gt;を考えると、実はシリーズ屈指の傑作なのでは？と思った。&#xA;こういう新しい発見や感覚の変化があるから再読はおもしろい。&lt;/p&gt;</description>
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